証券分析事例:保険も入りたいのと老後資金を増やしたいこともあり、両立が悩ましいところです(36歳 男性 会社員)
公開日:
:
最終更新日:2017/04/29
証券分析事例
今回は証券分析事例を紹介したいと思います。
【36歳 男性 会社員】
家族構成
・妻:26歳
・子:0歳
◯相談内容
必要なものに、都度、入ってきたつもりです。
妻と年の差があるのが気になっており、厚めの生命保険が必要かなと思いっています。
**********************************
では、証券分析の報告をさせて頂きます。
こちらがご契約一覧です。
◯表全体の見方として
死亡保障・医療保障・老後(年金)に分け、それぞれの区分で加入年順に上から並べています。
青の数字は少しご説明のいる部分で、下記で説明をしていますので参照下さい。
緑の数字はドル表記です。
◯証券分析
1.)プルデンシャル生命「低解約返戻金型家族収入保険」
2015年加入(34歳)
・死亡保険金:月額8万円/(一時金の場合3,240万円)(月払給付の場合4,896万円)から逓減
・保障期間:85歳
・年払保険料:180,628円
・払込期間:60歳
・払込総額:4,696,320円
・60歳時解約返戻金:4,187,440円
・上記返戻率:89.2%
・保険料払込免除:あり
・コメント
収入保障保険は解約返戻金がないものが主流ですが、この保険では払込終了後に解約返戻金が立上がるタイプです。
2.)オリックス生命「定期保険(Fine Save)」
2015年加入(34歳)
・死亡保険金:1,000万円
・保障期間:90歳
・月払保険料:6,040円
・払込期間:90歳
・払込総額:4,068,880円(90歳迄)
・解約返戻金:0円
・返戻率:0%
・保険料払込免除:あり?
・コメント
保障期間は90歳までとなり、支払を継続している限り保障が続きます。解約返戻金はありません。
3.)損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「がん保険」
2015年加入(35歳)
・診断給付金:100万円(上皮内がん100万円)2年に一度複数回
・がん入院日額:1万円(無制限)
・がん手術:10・20・40万円
・がん通院:10,000円
・がん先進医療:通算1,000万円
・死亡保険金:なし
・保険料払込免除:なし
・保障期間:終身
・月払保険料:3,452円
・払込期間:終身
・払込総額:1,558,750円
・解約返戻金:0円
・返戻率:0%
・コメント
支払を継続している限り保障が続き、解約返戻金はありません。通院給付は入院の有無を問いません。
4.)東京海上日動あんしん生命「個人年金保険」
2014年加入(34歳)
・月払保険料:20,000円
・払込期間:55歳
・払込総額:5,040,000円
・10年確定年金:6,073,400(60歳〜607,340円✕10年)
・年金受取時返戻率:120.4%(6,073,400÷5,040,000)
・死亡保険金:払込保険料相当額
・保険料払込免除:なし
・コメント
加入された時点では、日本で販売されている個人年金保険の中では1番目か2番目に返戻率の良かった個人年金保険です。その後、値上げ(正確には訂料と言います)があり、10月からは販売停止となります。
払済シミュレーションを見ますと、10年後に払済にし、その後16年間ねかせ、60歳から年金受取すると返戻率は132.3%のようですね。
*東京海上日動あんしん生命の「個人年金保険」〜30歳女性ランキング4位
5.)ソニー生命「学資保険」
・月払保険料:15,000円
・コメント
一般的にはソニー生命の学資保険は、他所と比較すると返戻率が高くなります。
6.)福利厚生「マイライフプラン・ゴールドプラン」
2015年加入(35歳)
・死亡保険金:400万円
・入院日額:1万円(日数制限?)
・手術:外来5・入院10・放射線治療10万円
・通院:3,000円
・休業保障:3,000/日(最長2年)
・賠償責任:1億円限度
・レジャー保障:携行・レンタル品30万/救援者費用300万/キャンセル費用10万
・保険料払込免除:なし
・保障期間:1年更新
・月払保険料:5,030円
・払込期間:1年更新(最長期間?)
・払込総額:1,558,750円
・解約返戻金:0円
・返戻率:0%
・コメント
グループ会社の方に向けた福利厚生プランのようですね。毎年更新型の保険で、一般的には割安な保険料になっています。
7.)三井住友海上「自動車保険」
・満期:2029年3月2日 20等級
・月払保険料:4,140円
・コメント
こちらは損害保険の分野ですので、証券分析の対象外となります。
◯アドバイス&ご提案例
まず、生命保険加入にあたって一般的な考え方ですが、生命保険の死亡保障というのは、万が一があった場合「誰が、金銭的にどれくらいリスクがあるか?」平たく言えば「誰がどれだけ金銭的に困るのか?」で、加入するべきものです。◯◯さんに万が一があった場合に「どなたが」「どれくらい」金銭的にお困りになるか?ということですね。それがある程度はっきりしませんと、そもそも4,500万円の死亡保障が必要なのか?多いのか?少ないのか?さらに追加で加入を検討されている50万USDの終身保険が必要なのかがわからないわけです。必要保障額の考え方はについてはブログで書いていますの参考にして下さい。
*生命保険が不必要な人
*「万が一の必要保障額」ってどれくらい?
次に、終身保険や学資保険、個人年金といった貯蓄性のある商品に関してですが、ここ数年で販売しているこれらの商品は史上最低の利率(正確には予定利率と言います)になっています。こうした超低金利の時に貯蓄性のある商品を長期契約をするのは得策ではありません。◯◯さんの契約においても、契約期間は約20年以上ありますから、その期間を超低金利の利率で縛られた上に、途中で見直そうと思っても支払中のほとんどの期間で元本割れです。
更に日本は今後、円安&インフレ(物価が上がってお金の価値が下がること)方向へシフトしていくことが予想され、このような状況では金利のつかない日本円で持っておくだけで、資産が目減りしていることになります。先日も話題になったばかりですが、仮に日本が目標としているインフレ率2%だとすると、20年後に約30%、30年後には45%以上、増えていなければ実質、元本割れです。
*インフレ対応していなければ、あなたの保険は吹き飛びます
最後に、医療保険やがん保険の考え方についてですが、本当にこれらの保障が必要かどうかをご確認下さい。
保険は損得だけのことではありませんので、医療保険やがん保険に加入していたことで“本当に良かった”という方もいらっしゃいますが、ただでさえ、国の制度によって強制的に毎月保険料を支払っているわけですから、これに加えて民間の保険会社の医療保険に加入するのであれば、本当に加入が必要かどうか?日本は高額療養費制度という社会保障制度があり、恐らく◯◯さんのお勤めの企業ではさらに福利厚生が充実しているかと思いますので、そちらも確認してみて下さい。医療保険やがん保険は保険会社の非常に儲かる商品で、確率論ではありませんが、殆どの方が支払うよりも受取る金額の方が少なくなっています。
*医療保険って必要?「高額療養費制度」とは?
では、それらを踏まえ、保険契約別でのアドバイスです(必要保障額の適当性は考えないものとして)
1.)プルデンシャル生命「低解約返戻金型家族収入保険」→ 継続 or 解約
分析のコメントにも記載しましたが、この保険は払込終了後に解約返戻金が立上がるタイプです。
メモ書きもされていましたが、もし60歳で解約した場合
4,696,328(払込保険料)ー4,187,440(解約返戻金)=−508,888円
−508,888÷12ヶ月÷26年=約1,630円
となり、60歳で解約したとすると、それまでのコストは月払保険料1,630円だったことになります。
もし、月額8万円の収入保障保険を最も保険料の安い保険会社で契約しても1,630円よりも高くなりますから、後ほどご提案する死亡保障をひとつでまとめる方法を取らないのであれば、この保険はそのまま継続されると良いでしょう。
2.)オリックス生命「定期保険(Fine Save)」→ 継続 or 解約
加入当時、90歳定期保険で最も保険料の安かったのがこちらだったと思います。
上記のプルデンシャル「低解約返戻金型家族収入保険」同様、後ほどご提案する死亡保障をひとつでまとめる方法を取らないのであれば、そのまま継続されると良いでしょう。
3.)損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「がん保険」→ 解約 → 他社
どちらかといえば少し古いタイプの商品ですので、最近各社で販売されているタイプと比べると見劣りします。
加入が必要で、健康状態に問題ないのであれば、下記のようながん保険が良いのではないかと思います。
【がん保険】
・チューリッヒ生命(今、一番人気のあるがん保険)
*手数料も高いので売れてます!チューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアム」「3大疾病保険プレミアム」とは
・セコム損保(実費補償型のユニークな保険)
*自由診療でも自己負担0円!?セコム損保のがん保険「自由診療保険メディコム」とは?
・あんしん生命(支払った保険料が払込終了時に一度戻ってきます)
*7月2日発売・東京海上日動あんしん生命の新しい「がん保険」【がん診断保険R】
このあたりが、それぞれタイプの異なる私からの一般的なオススメです。いずれの保険も「終身払い」で加入するのが良いと思います。
4.)東京海上日動あんしん生命「個人年金保険」→ (払済 or 解約)→ 海外積立年金
年金受取時返戻率120.4%は、一見すると悪くないようにも見えますが、先程も記載した通り、今販売している保険会社の予定利率は史上最低のもので、26年のほとんどの期間で元本割れですし、インフレとなった場合も実質元本割れの確率が高いでしょう。
また、10年後に払済にし、その後16年間ねかせ、60歳から年金受取すると返戻率は132.3%となり、パフォーマンスは上がっていますが、いずれにしても26年後から10年確定年金で受取って130%程度の返戻率では、あまりオススメはできるものではありません。
もし、払済にできるのであれば払済にし、できないようでしたら解約して、15年後に最低でも140%以上になる「海外積立年金」にされた方が、より多く殖やせます。
5.)ソニー生命「学資保険」→ 継続 or (払済 or 解約 → 海外積立年金)
証券がありませんので、はっきりとはわかりませんが、お子さんのお産まれになった頃のタイミングで加入されたのだと思います。
ソニー生命の学資保険は他社の同商品よりも返戻率が高く、昨年まで販売されていたⅢ型とう商品が特に人気がありましたが、いずれにしても、ここ数年の学資保険も史上最低の予定利率ですから、満期時の返戻率は110〜120%程度だと思います。
先程同様、15年後に最低でも140%以上になる「海外積立年金」にされた方が、より多く殖やせますが、小学校、中学校、高校などの進学のタイミングでその都度、給付金(祝金)を受取りたいのであれば「学資保険」を継続さた方が良いでしょう。
*”学資保険は実質元本割れ!?”国立大学授業料「54万円」が16年後「93万円」に【現在の172%、1.7倍】
6.)福利厚生「マイライフプラン・ゴールドプラン」
こちらは主に大企業が団体のスケールを利用し、割安で加入できる1年更新型の定期保険です。
保障内容は一般の商品に比べると見劣りする部分も多少ありますが、保険料のバランスを考えると良いと思いますので、加入できる間は必要な保障を必要に応じて利用すると良いでしょう。
7.)三井住友海上「自動車保険」
こちらは自動車保険ですので、アドバイスの範囲外ですが、せっかくですから少しだけコメントします。
こちらの保険も団体割引がされていますから、一般の方よりは保険料は安くなっています。
しかし、4月に商品改訂のあった朝日火災の長期自動車保険(7年契約)は保険料も割安ですから、来年3月の満期前に一度見積をされてみてはいかがかと思います。
特に、20等級の方は「事故係数」のカウントが有利になる仕組みですので、保険料の安さプラス仕組みの有利性からも試算されることをオススメします。
*自動車保険更新時は「朝日火災(ASAP/PAP)」の見積も取ると良いですよ〜”安い”
◯備考
加入検討のメットライフ生命 低解約返戻金型ドル建終身保険「ドルスマート」
大きな違いはジブラルタは固定利率ですが、メットライフは利率変動型となっている点ですね。
どのような条件でジブラルタ生命と比較されたかはわかりませんが、保険料はほぼ同じで、返戻率はメットライフが最低保証利率3%で推移した場合、ほぼ同程度のようです。
ただし、為替手数料が大きく違うはずです。
・メットライフ:円入金TTM+1円 円支払TTMー50銭
・ジブラルタ:円入金TTM+50銭 円支払TTMー1銭
だったかと思います。
加入するのであれば、ジブラルタ生命の方が有利になる可能性もありますので、入口と出口の為替手数料を含めて検討する必要があります。
◯提案例:「保障」を掛け捨ての収入保障保険ひとつにまとめ、「貯蓄」と分けて考える
・前提:36歳・男性・非喫煙健康体
1.)プルデンシャル生命「低解約返戻金型家族収入保険」
2.)オリックス生命「定期保険(Fine Save)」
4.}東京海上日動あんしん生命「個人年金保険」
5.}ソニー生命「学資保険」
上記4つ、さらに検討中のメットライフドル建終身保険(50万USD)を加入することも考慮すると(1USD=100円計算)
年間保険料:約870,000円
死亡保障額:約9,000万円から逓減
満期金・解約返戻金合計:約1,680万円(それぞれ満期時や解約時期は異なって試算)
「保障」:収入保障保険 損保ジャパンひまわり生命 無解約返戻金型収入保障保険(最低保証期間2年)
・死亡保険金:月額15万円/(一時金の場合5,490万円)(月払給付の場合7,920万円)から逓減
・保障期間:80歳
・年払保険料:139,395円
・払込期間:80歳
・60歳払込累計:3,345,480円
・60歳時解約返戻金:0円
・上記返戻率:0%
・保険料払込免除:あり
「貯蓄」:140%元本確保型年金プラン
15年後に積立た金額の+40%を最低保証した上で、米国の株式に連動し更に殖えて受けとれることができるものです。
現在の保険料(メットライフも含めて考慮)約87万円から、上記「収入保障保険」の保険料約14万円を差し引くと差額は「73万円」これを積立てていきます。
月々600USD(約6万円)=年間72万円を15年積立てるシミュレーション(*1USD=110円)
・600USD(約60,000円)✕12ヶ月✕15年=108,000USD(約10,800,000円)
・15年後:108,0000✕140%=151,200USD(最低保証 約15,120,000円)
・返戻率:140%最低保証
条件がピッタリと同じでの比較ではありませんが、現在のような史上最低の予定利率の保険では「保障」と「貯蓄」を同時に備えるのが非常に難しいので、保障は保障で割安な掛け捨ての商品で準備し、貯蓄は日本よりも金利の付く海外の商品で殖やしていく方がより効率的に多く殖やすことができます。上記の場合15年後に約1,510万円が準備出来ています。
Point
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最終的なご判断はご自身ですので、それはそれで良いのですが私の感想としては、今後は間違えなくインフレ対応していないプランニングはリスクとなると考えていますので
日本の商品だけではなく、世界を含め広い視野で商品選択をすれば、よりよい条件でお金を殖やすことができます。
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