全額損金の保険はまだまだあります(税理士先生向け)
皆さんこんにちは「保険アドバイザー和田」です。
今日は『全額損金(全損)の保険』についてお話したいと思います。
全額損金の保険
個人の保険契約では「損金」という概念がないので、一般の方だとわからない方もいらっしゃるいますが、税務の専門家である税理の先生や会社を持っている方でしたらご存知の通り、保険には「損金」が認めらる商品とそうでないものがあります。
*「法人で加入する保険」保険を使った節税とは?
この「損金」の保険には
・全額損金
・1/2損金
・1/3損金
・1/4損金
の4種類です。
改めて、この仕組を全額損金の商品を例にわかりやすくザックリと説明すると
◯毎年の利益が1,000万円有る企業が保険に加入していなかった場合
1年目利益:1,000万円・・・法人税350万円・・・会社に残るお金は(1,000ー350=650万円)
2年目利益:1,000万円・・・法人税350万円・・・会社に残るお金は(1,000ー350=650万円)
3年目利益:1,000万円・・・法人税350万円・・・会社に残るお金は(1,000ー350=650万円)
*会社にある現金:650万円✕3=1,950万円
◯毎年の利益が1,000万円有る企業が年払1,000万円の全額損金の保険に加入していた場合
1年目利益:1,000万円・・・1年目保険料:1,000万円(全損)・・・法人税なし・・・会社に残るお金は(1,000ー1,000=0)
2年目利益:1,000万円・・・2年目保険料:1,000万円(全損)・・・法人税なし・・・会社に残るお金は(1,000ー1,000=0)
3年目保険料:100万円・・・2年目保険料:1,000万円(全損)・・・法人税なし・・・会社に残るお金は(1,000ー1,000=0)
*支払保険料総額:3,000万円:会社にある現金:0
ってことで、手元にはこの状態ではゼロですが、この保険を解約すると解約金が戻ってきます。
*解約返戻金:2,400万円
3年間、何も対策していなければ1,950万円の現金だったのが、この保険に加入していたことで、3年後に2,400万円になります。
*2,400÷1,950=123.1%
の効果があったわけで、これを
実質返戻率
と、言います。
この損金の保険、特に全損商品には長い歴史がり、過去には「がん保険」を従業員全員が加入するなどの一定要件を満たすことで全損が認められていたのが、払込期間中の解約返戻金があまりにも大きい商品が乱発され、その節税効果の高さから多くの企業がこの契約をしたこともあり、当局から”これはけしからん”ってことで、2012年4月27日以降の新契約からは「がん保険」は1/2損金として経理処理することに改正されました。もちろんそれまでの契約には遡及されず、あくまでも新契約に関してです。
それ以外の商品でも、この数十年の間には同様に
・ある保険商品が販売される
↓
・節税スキームでいけそうな点を(時にトリッキーに)保険屋さん達が探し出す
↓
保険屋さんが節税効果をウリにたくさん売る(契約する)
↓
・当局から目を付けられ、やがて全損を否認されて1/2損金とかになる(または損金にできなくなる)
といった「イタチごこっこ」のようなことがいくつかありましたが、現在の損金のルールは保険種類によって以下の通りです。
◯定期保険
・全額損金:保険期間満了時が70歳以下、または(保険加入年齢+保険期間×2)≦105
・1/2損金:保険期間満了時が70歳を超え、かつ(保険加入年齢+保険期間×2)>105
◯逓増定期保険
・全額損金:保険期間満了の年齢が45歳以下
・1/2損金:保険期間満了の年齢が45歳超え(1/3、1/4に非該当)
・1/3損金:保険期間満了が70歳超え、かつ加入時年齢+(保険期間×2倍)>95歳
・1/4損金:保険期間満了が80歳超え、かつ加入時年齢+(保険期間×2倍)>120歳
その中で、特に返戻率の高い全損商品であれば
◯定期保険
・Neoファースト生命:一定期間災害保障重視型定期保険
*”単純返戻率95%!!”驚愕の全損保険「ネオdeきぎょう」3月12日(本日)販売開始
・NN生命:生活障害定期
・マニュライフ生命:Prosperity(プロスペリティ)定期保険
・日本生命:傷害保障重点期間設定型長期定期保険(プラチナフェニックス)
・大同生命:介護定期保険
◯逓増定期保険
・東京海上日動あんしん生命:低解約返戻金型逓増定期保険(E型)
などが代表的なところです。
いずれも、契約年齢や各条件にもよりますが
単純返戻率:80%〜90%
実質返戻率:120〜130%程度
のパフォーマンスになっています。
全損の保険はもうなくなった
どうせい”イタチごこっこ”だ
と、思われてい方もいらっしゃるようですが、保険会社からは常に提供されていて、節税目的の商品が何もなかった時代はありません。
また、税理士さんの中には
保険はキライ
という方もいらっしゃいますが、多くの保険セールは皆さんのクライアントに対して日々、営業をかけていますので、クライアントから
こんな良い節税の保険があるって、保険屋さんから聞いたんだけど
って、ことのないように最新の情報をアップデートしておくのが良いかと思います。
もちろんこのようなスキームも、メリット・デメリットがあるわけで、特に返戻率がピークを迎える時期には”出口戦略”をしっかり立てておかないと単なる繰延べ(それはそれで良い場合もありますが)で終わってしまいます。
*契約事例:ある法人で契約していた損金保険の出口戦略
ですから、利益対策の選択肢のひとつとして
『今期上がった利益を節税するためにこんな方法(保険)もあります。メリットは。。。。ですが、デメリットは。。。。』
そしてその説明の後に、先生ご自身の意見として「私は保険というスキームを使った節税はキライですけどね」と。その上で、このような保険での節税対策をするかしないかの最終判断は経営者自身に委ねれば良いのではないでしょうか?
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