全期前納「未経過保険料」の相続税評価は?
公開日:
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最終更新日:2019/04/15
ライフプランニング
皆さんこんにちは「保険アドバイザー 和田」です。
今日は『全期前納「未経過保険料」の相続税評価』についてお話したいと思います。
このブログでも度々取り上げれれる「全期前納」という保険料の支払い方。
詳しくは過去のブログも参考にして頂くとして、簡単に説明すると文字の通り、全期間分の保険料を前納することを言います。
*「払込」に関する用語【保険料払込期間・一時払・有期払・終身払・全期払・短払・月払・半年払・年払・前納・全期前納・平準払込方式】
例えば、年払保険料100万円で払込期間5年の場合、本来は100万円ずつ5年間毎年支払っていくわけですが、全期前納の場合は1年目の保険料100万円と、残り4年分の保険料400万円も一緒に支払ってしまうというものです(正確にはこの前納分には割引がされることが多いです)。
一度で全ての保険料を支払ってしまうという点では一時払と同じですが、一時払の場合は払込んだ金額のすべてが保険料となり、前納の場合は前納した保険料の金額は未経過保険料と言って払込期日が来るまで、保険会社が保険料を預かっているだけなので、解約した場合や死亡した場合、保険料に充当されていない分は保険金や解約返戻金とは別に払戻される点が違っています。
上記の例で言えば、2年目に100万円が充当され「未経過保険料」は300万円、3年目にまた100万円が充当され「未経過保険料」は200万円といった具合です。
さて、今日の話はここからです。
生命保険を取扱っている人でしたら、生命保険募集人一般過程の試験にも出てくるので全員が知っていると思いますが、死亡保険金は「みなし相続財産」として課税対象となりますね。
ではもし、「未経過保険料」がある契約の場合で、死亡保険金と一緒に「未経過保険料」が払戻された際は、どのように扱うのか?です。
保険を取扱っている人でもすぐに答えられない人がいるのではないでしょうか?
答えは「相続税法基本通達3-8」にあります。
相続税法基本通達3-8
法第3条第1項第1号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金には、保険契約に基づき分配を受ける剰余金、割り戻しを受ける割戻金及び払い戻を受ける前納保険料の額で、当該保険契約に基づき保険金とともに当該保険契約に係る保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)が取得するものを含むものとする。(昭57直資2-177追加)
つまり、「未経過保険料」は死亡保険金と合算して「みなし相続財産」になるわけです。
例えば、また上記の例でお話すると
・死亡保険金:2,000万円
・年払保険料:100万円
・払込期間:5年
・全期前納:500万円
で契約し、契約から3年と少ししてから被相続人が亡くなったとします。
相続人が受取る保険金は「死亡保険金:2,000万円」と「未経過保険料:200万円」ですが、その相続評価は「みなし相続財産:2,200万円」になるということです。
これは、死亡保険金に係る非課税限度額【500万円×法定相続人の数】にもそのまま反映されます。
仮に、上記被相続人の家族が妻と子供2人だった場合、法定相続人の数は3人ですから、非課税額1,500万円になり、2,200万円からこの1,500万円を引いた700万円が相続税の課税価額に算入されます。
では、被相続人が契約者である生命保険契約において、被相続人と被保険者が別人の場合はどうでしょう?
例えば、「契約者:夫」「被保険者:妻」という契約で夫が死亡した場合、被相続人(夫)の死亡によって死亡保険金は支払われることはなく、契約者を妻などに変更して保険契約を継続します(その後は、継続や解約などが可能)。この場合、「生命保険契約に関する権利」が本来の相続財産として相続税評価され、相続開始時の「解約返戻金額」に「未経過保険料」を合算した金額が評価額になります。
いかがですか?
特に、保険セールに関わっている人で「知らなかった」という方は、こうゆうこともしっかりと理解していることで、セールストークの幅が広くなりますので、正しい知識を身に付けるようにしましょう(自戒も込めて)
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