日本では8社の生命保険会社が破綻しています 「責任準備金」と「生命保険契約者保護機構」とは?
皆さんこんにちは「保険アドバイザー和田」です。
今日は「責任準備金」と「生命保険契約者保護機構」についてお話したいと思います。
責任準備金とは、保険会社が将来の保険金などの支払いに備えて、保険料の中から積み立てている準備金のことです。業界的には「責準(せきじゅん)」と言ってますね。
以前にも説明しましたが、生命保険の保険料は「付加保険料」と「純保険料」という2つの保険料で構成されていて、この責任準備金は純保険料の部分を指します。ですから、責任準備金は払い込んだ保険料の合計よりも少なくなるのが一般的です。
責任準備金の積立方式はさまざまありますが、代表的なものが「平準純保険料式」と「チルメル式」の2つです。
・平準純保険料式
保険事業にかかるコストを毎年一定の付加保険料でやりくりできると想定し、残りの保険料を責任準備金とする方式。積立方式の水準を求めて平成8年4月に施行された「標準責任準備金制度」はこの方式で積み立てることとされています。
・チルメル式
契約初年度は多くのコストがかかるため、初年度のみ付加保険料を多めに確保し、2年目以降から責任準備金の割合を増やしていく方式。したがってあるタイミングで平準純保険料式と同様の積立額に追いつきます。追いつくまでの期間が5年の場合を5年チルメル式、10年の場合を10年チルメル式といいます。生命保険会社が基準としているのは前述の平準純保険料式ですが、経営が苦しい会社はチルメル式を採用するといわれています。
一般的には、定期保険のように契約期間中に保険金の支払いが発生するかどうか分からない掛け捨ての商品では、責任準備金は低めに設定され、満期時にはゼロになります。
一方、貯蓄性の高い終身保険や養老保険、年金保険のように、保険金の支払いが必ず発生する商品は、責任準備金の額が多く貯まっていきます。
このように、保険業法では保険の種類ごとに積立ることが義務づけられています。
責任準備金を含め、経営全体が立ちいかず、万一、生命保険会社が破綻した場合には「生命保険契約者保護機構」(以下、保険機構)という組織がセーフティネットとなり契約者を保護する仕組みになっています。日本では過去に8社の生命保険か破綻しています。
具体的には、破綻した保険契約を引き継いでくれる救済会社への資金援助、救済会社が現れなかった場合は、契約を引き継げる小会社を設立し、その経営管理、保険金の支払いなどを行い、ケースによっては保険機構自らが救済会社の役割を担うこともあります。
この保護機構によって補償されるのは、その時点の責任準備金の90%までなので、契約時の保険金や年金額は減額される可能性があります。
なお、生命保険保護機構に頼るほかに「更生特例法」と言われる、裁判所に申請して経営再建を図る方法があり、完全破綻する前に手続きを取ることで債務の悪化を防ぐことが可能です。財務状況によっては責任準備金をカットせずに済み、2001年3月に経営破綻した東京生命は100%の責任準備金を維持できました。2000年以降は更生特例法で再起を図るケースが主流になっています。
各保険会社の健全性を見抜くのは簡単ではありませんが、保険会社もいつ経営破綻するかは分かりませんので、各付け会社の発表している格付けや、ソルベンシー・マージン比率などを判断基準のひとつとして、チェックすると良いでしょう。
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