「法人で加入する保険」保険を使った節税とは?
皆さんこんにちは「保険アドバイザー和田」です。
今日は法人の保険を使った節税について少しお話したいと思います。
*「個人保険」「法人保険」とは?
保険に携わる人達はもちろんのこと、会社を経営されていたり、会社の経理・税務の担当の方、または税理士の方々は知っている仕組みですが、一般の方々には法人の保険を使った節税と言われてもいまいちピンと来ないですよね?
いきなりマニアックな説明をしてもわかりにくいと思いますので、今回はなるべく簡単に説明していきます。
「あぁ〜、だから会社でこんなに高額な保険契約をするんだぁ」と、理解して頂ければと思います。
会社には様々な経費が損金として認められています。
一番、わかりやすく簡単なのは交通費ですね。
仕事でお客さんのところへ移動した際の電車賃や、出張であれば飛行機代やホテル代です。よく”経費で落ちる”って言いますね。
そして、その経費の一つとして「ある一定の要件を満たした保険」も損金にすることが認められています(全額が損金だったり、保険料の1/2や1/3が損金など、いろいろあります)
ある一定の要件についてはここでは省略しますが、その要件を満たした保険には節税効果があり、企業はこれを上手に利用しています。
例えば、平成21年〜平成25年の5年間、年払1,000万円の保険に加入していた場合としていなかった場合で比較してみます。
ここでは法人税(簡単に言うと会社の利益に対する税金です)率を35%として計算します。
保険未加入のケース
平成21年の会社の利益1,000万円に対して35%の法人税がかかると、手元に残る会社のお金は
1,000ー(1,000✕35%)=650万円
同様のことをあと4年続いたとします。平成、22年、23年、24年、25年、トータルで5年間累積されると
650✕5=3,250万円になります(この間の資産運用等による金利はなかったとして)
会社は法人税を5年間で350万円✕5=1,750万円支払い、手元に3,250万円があるわけです。
年払1,000万円の「経費で認められる保険」に加入していたケース
平成21年の会社の利益1,000万円を、経費(損金)で落とせる保険に保険料1,000万円を支払います。これで会社の利益はゼロ
利益がゼロですから法人税もゼロ、ただし保険料1,000万円を保険会社に支払いましたから会社の手元に残るお金もゼロです。
同様に、22年、23年、24年、25年、この5年間で法人税もゼロですが、手元にもお金はありませんね。
しかし、会社はこの保険を解約します。
すると、保険会社から4,000万円の解約返戻金が入ってきます。
おわかりになりますね?
利益をそのままにしていたら5年後に3,250万円だったのが保険に加入したことで、5年後に4,000万円になったわけです(その間はキャッシュはありませんでしたが)
通常の個人で加入する保険では5,000万円支払った保険料が解約して4,000万円であれば【4,000÷5,000=80%】の返戻と言いますが、正確にはこれは「単純返戻率」と言い、法人の場合この【4,000万円÷3,250万円=123.1%】を「実質返戻率」と言っています。
個人で加入した場合の保険では元本割れですが、法人は何も対策しなければ税金で取られていたことを考慮すれば123.1%の効果があったということになります。
ただ、実際にはこの解約返戻金4,000万円をそのまま受取っただけではこの4,000万円に対し法人税35%が掛かってしまい、それでは単なる税の繰延にしかならないので、企業はそうならないよう次の手を打ちます。一番よくあるパターンはこの4,000万円を社長や役員の退職金として支給しましょうというものです。
また、利益が出ていない会社はそもそも法人税を納めることはないですから、この節税プランはあくまでも黒字企業を前提としています。
*法人の役員退職金プランでよく使われる「長期平準定期保険」とは?
さて、いかがでしたか?何となくご理解頂けましたか?
日本は所得税率もそうですが、法人税率も他の国に比べると高いと言われ、会社はその高い税金をできれば少なくしたいと考えています。そのため、このような保険の仕組みを利用し節税をしているわけです。
ただ、日本も今後この法人税率を最終的には20%台まで引き下げる方向となっていますから、もしかすると今後はこの節税効果の魅力は少なくなるのかもしれません。
いずれにしても、これらの保険を使った節税プランは業界の方々はもちろん、経営者の方も今後の税制と合わせ注視していく必要がありそうです。
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