予定利率を引き下げる!?「逆ザヤ」とは?
皆さんこんにちは「保険アドバイザー和田」です。
今日は「逆ザヤ」についてお話したいと思います。
逆ザヤとは、保険会社があらかじめ運用益を見込んで決めていた予定利率よりも、実際の運用利回りが下回っている状態のことです。
生命保険会社は契約者の支払う保険料を運用収益を予め見込み、割引いて計算しています。これが予定利率です。
予定利率通りに運用できていれば問題はありませんし、予定利率を上回る運用ができれば、保険会社は更に利益を得ることができますが、運用に失敗してしまうと、予定利率を下回る部分は損失となり、それを保険会社は負担しなければなりません。これが「逆ザヤの状態」です。
逆ザヤが発生した場合は保険会社自身がその損失額を負担しますので、保険契約者が損失分を負担することはありませんが、損失が膨らんでいけば、いずれはその”ツケ”を誰かが負担しなければいけません。消えて無くなったりしませんからね(そう考えれば日本の借金も同じですよね)
1970年代後半から90年代前半にかけ、日本の生命保険会社は5〜6%という、今では信じられないような高い予定利率の保険(これがお宝保険などと呼ばれています)を販売していましたが、バブル崩壊後日本経済は悪化し、その結果”逆ザヤ”による経営破綻が憂慮されたため、2003年に保険業法が改正され、この法改正により、逆ザヤを軽減するための手段として、保険会社は事業の継続が困難になる前に「予定利率の引き下げ」が可能となったのです。
これにより、保険契約者は「保険料の引上げ」または「保険金の減額」などの負担を引受けることとなりました。
簡単に例えて言うと、ある銀行に5%で預けていた預金が、銀行の運用の失敗によって5%が払えそうにないから、その場合は1%にしても良いことになったわけです。
おわかりですね?その”ツケ”を保険契約者にさせたわけです。
契約者にとっては迷惑な話ですが「保険会社の経営破たんは免れたし、契約者も保険を続けることができるようになっているから良いよね」ということにしちゃったわけです。「預金金利5%が1%になっちゃうけど、潰れて払えないより良いよね」ってことです。
過去に破綻した保険会社の大きな理由がこの”逆ザヤ”でした。
参考までに破綻後の予定利率がこれです。
1997年 4月 日産生命 2.75%
1999年 6月 東邦生命 1.5%
2000年 5月 第百生命 1.0%
2000年 8月 大正生命 1.0%
2000年10月 千代田生命 1.5%
2000年10月 協栄生命 1.75%
2001年 3月 東京生命 2.6%
特に古い契約で予定利率の高い保険契約は”逆ザヤ”ですから、それを少しでも解消するには保険会社からすると、できるだけ多く無くなって欲しいわけです。それが「転換(下取り)」のセールが来る理由のひとつでもあります。
いずれにしても、このような保険会社の契約は避けたいもの。
保険会社は急に”逆ザヤ”状態なるわけではありませんから、ソルベンシーマージン比率や格付け会社の格付けなども、ある程度参考にして財務状況を知ることもできますが、専門家でない方であればよくわからないと思いますので、そのためには信頼できるアドバイザーから情報をもらうことが何よりですし、私も出来る限り皆さんにお伝えしていきたいと思います。
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