日本にはない海外の「共同名義」の口座・契約とは?
皆さんこんにちは「保険アドバイザー和田」です。
今回は「共同名義」の口座・契約についてお話したいと思います。
海外では銀行や証券会社など、金融機関の1つの口座を複数名で持つことの出来る共同名義「ジョイントアカウント(Joint Account)」というものがあります。日本の口座は単独名義(Single Account、Individual Account)で、文字どおり”1人で口座を開設”するものに対し、共同名義は複数名で1つの口座を維持・管理するものです。もともと夫婦や親子で資産を共有するための欧米の習慣で、申込書には2人分の名義人欄が用意されているのが一般的ですが、4人までの共同名義というケースもあります(カードの発行枚数などが制限されることがあります)名義人の関係は、夫婦や親子、兄弟はもちろん、”パートナー”でも問題ありません。
この共同名義の最大のメリットは、名義人のいずれかが死亡した際に、資産の移行がスムーズにできることです。
実はこの仕組を使い、一部の業者で「相続対策=節税」をしましょうと煽っているのを見掛けたりします。
「そんなことが許されるわけはない」
「脱税だ」
と、息巻く税理士さんや会計士さんの意見も多く見掛けましたが、それも平成26年11月までのもの。どこに行ってしまったのか、それからはすっかり息を潜めています。実はこの「共同名義口座」について平成26年11月に東京高裁で”ある判決”が下ったからです。
その”ある判決”とは…
ハワイ銀行にジョイント口座を持っていた日本人のご夫婦が、夫が亡くなり、この口座の所有者が妻だけになったため、全額が妻に移転され引継ぐこととなりました。しかし、彼らの子は遺留分を侵害されたとして、母に対し「子の相続分相当額」の支払い請求を裁判所に訴えます。この裁判の争点は、ジョイント口座が遺産分割などの対象となる「私法上の相続財産」となるかどうかだったのですが、東京地裁、高裁とも、ジョイント口座は相続の客体とはなり得ないため、被相続人の「私法上の相続財産」を構成しないと判断、子の訴えを全て斥けました。
(東京高裁判決261120)
預金契約がハワイ法により規律されることから、私法上の問題はハワイ州法により決定される。ハワイ州法においては、生存名義人に帰属させないとする意思の存在を裏付ける明確で客観的な証拠等がない限り、生存名義人に帰属すると定められている。また、州法では死亡により自動的に死亡名義人の財産を生存名義人が取得するとされ、いったん死亡名義人の遺産を構成するわけではない。よって、ジョイント口座は直ちに生存名義人の財産になり、相続財産を構成しないことになる。
なんだかわかりにくいですね?わかりやすく言うと
子:オヤジの銀行にあった”お金”って少しはオレのもんだよなぁ?くれよ~オフクロ
母:これはお父さんと私のお金だからダメよ~ダメダメ
子:”遺留分”って言うヤツ?相続で最低もらえる”取り分”ってのがあるじゃん
母:いえいえ、これは分けなくていい財産なはず、裁判所で聞いてみなさいよ
裁判官:そうね、お母さんの言う通り、これはあなたはもらう権利がない財産だね
母:ねっ、言ったでしょ
子:シュン(泣)
後半部分は、和田プロデュースで脚色してるので、こう言ったかどうかはわかりませんが、要はこうゆうことです。
さて、この高裁の判断からすると、日本での相続が”ややこしい”ことになります。これから始まる「マイナンバー制度」で、もっと複雑なことになる気もします。冒頭でも書きましたがジョイント口座は夫婦に限らず、親子や兄弟、”パートナー”でもできます。日本では法定相続人は民法で定められているため、例えば愛人などは遺産の分け前はゼロですが、アメリカに口座を作ってそこに送金し、愛人とのジョイント口座にすれば財産分与であり、遺族も返還請求できない。遺留分も侵害しないという解釈になってしまうわけですね、今のところ。
だからってことではありませんが、海外積立年金は海外の金融機関が取扱っているわけですから、もちろん共同名義でかけることができます。
弊社でも「HSBC」や「ハワイ銀行」の口座開設もサポートしていますよ。。。
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